介護業界における深刻な人材不足への対策として、外国人材の就労支援を行う「特定技能」と「技能実習」の2つの制度が注目を集めています。しかし、これら2つの制度の「実務における決定的な違い」を正確に把握できている方は多くありません。
本コラムでは、受け入れ後に「こんなはずではなかった」というミスマッチを防ぐため、2つの制度の違いを徹底比較します。
1. 制度の「目的」の決定的な違い
2つの制度は、法律上の目的が根本から異なります。
- 技能実習:国際貢献(技術移転) 発展途上国の人材に日本の介護技術を修得してもらうための「教育・研修」の場という位置づけです。
- 特定技能:深刻な人手不足の解消 国内の人材不足が著しい特定の産業(介護を含む)において、一定の専門性・技能を持つ即戦力外国人を受け入れるための「就労」の制度です。
2. 業務スキルの違い:未経験か、即戦力か
目的が異なるため、入国してくる人材のスタートライン(スキル水準)にも大きな差が生まれます。
技能実習生の場合
原則として、介護業務は未経験の状態で入国します。日本語でのコミュニケーションも基礎的なレベルからのスタートとなるため、現場に受け入れた後は、教育担当(指導員)をつけてイチから業務を教え込む体制が必要です。
特定技能スタッフの場合
介護現場の即戦力として働くために、事前に以下の2つの試験に合格することが義務付けられています。
- 国際的な日本語能力試験(一定水準以上の会話力)
- 介護の知識・実技試験(身体介護等の基礎知識)
事前に基礎知識を有しているため、現場の指導コストが圧倒的に低く、早い段階での自立就労が期待できます。
3. 介護報酬改定や人員配置基準への算定
経営において重要な「人員配置基準(常勤換算)」への算定タイミングにも違いがあります。
- 技能実習: 就労開始から6ヶ月間は人員配置基準に算定できません(一定の条件を満たせば即算定可能となる特例もあります)。
- 特定技能: 就労開始の初日から人員配置基準(常勤換算)に算定することが可能です。
まとめ:貴社が今、選ぶべき制度はどちらか
教育体制が潤沢にあり、中長期的に外国人を育てていきたい場合は「技能実習」も選択肢に入ります。しかし、「今いる職員の業務負担をすぐに軽減したい」「初月から人員配置基準に含めてシフトを組みたい」という現場主導の課題がある場合は、最初から即戦力として稼働できる「特定技能」の導入を強く推奨いたします。
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